甘い蜜と午後3時

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体まで預けられるのに何故なのか、自分の中の偏見のようなものに腹が立つのも事実で。 (こんなに想われたことないからかも) 恋愛したことはあるけど、恋愛対象として強烈に求められたことはない。 性別を盾に、愛されることに対して素直になれてないのかも、しれない。 ……あとは強姦の後遺症のせいとか? じゃあ、あんなことがなかったら、もっと彼に対して素直になれたかといえば……。 (って、何ガラでもないこと考えてるんだか) 考えすぎたら頭が疲れてきた。せっかく美味い飯食べたのに台無しだ。 無心で皿洗いをして、そのままソファに横になる。彼はまだ戻ってこない。 沈黙が苦しくて、スマホを手に取った。 キスの花言葉。 頭の中で引っ掛かっていたことを、試しに調べてみる。 「キ、ス、花、言葉、と」 呟きながら検索ボタンを押す。 うまくヒットしなくて「キス 意味 場所」で検索し直した。 ヒットしたページのうち、それらしいページを探して眺める。 「あ、これか」 シェフがいっていたことが書いてあるページに行き当たった。 「えーと、あ、ホントだ、唇が愛情」 シェフの言ってたこと以外にも、いろいろと書かれている。 髪は思慕。 耳は誘惑。 胸は所有。
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