甘い蜜と午後3時

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トレーニングルームには、エアロバイクやペクトラルフライなど、トレーナーがいないだけでそこら辺のジムと変わらない設備が揃っていた。ついでに専用のバスルームとサウナまでついてる。 (トレーニングルームあったのは知ってたけど) 使ったことはない。ここに来てからやった運動って、適当にプールに浮かんだくらいで、泳ぐことすらしていない。 食っちゃ寝が祟って、ちょっとお腹がプヨっとしてきたような気もするし……。 ここらで体を引き締めないと、オッさんが加速してしまう。 日本でも週2はジムには通っていたから、日常生活を取り戻す第一歩としては申し分ない。 レッグプレスに座り脚を曲げ伸ばし始めると、2週間程度で弛んだ筋肉が、速攻で悲鳴を上げた。 「い"~、つらぁ、しんど」 自分の中でノルマを決めて、室内にあるマシーンに次々挑む。 全身汗だくで、風呂上がりか何かかと思うくらいの状態になったとき、ガラス窓の向こう、キッチンの方に、彼の姿が見えた。 「おはよう!昨日はありがとう!」 動いてテンション高くなったついでに大きい声で言うと、すげぇびっくりした顔をしていた。その間抜け面に笑っちまった。 「ベッドにいないと思ったら……朝から運動か?」 「うんそうだよ、体鈍ってきたから」 「せっかくのバカンスなのに、そんな汗だくになるほど運動しなくても」 「いや、バカンスに来ても仕事してるやつに言われたくねーよ」
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