甘い蜜と午後3時

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「あ、そうだ、お前に見せたいものがあるんだ」 「んっ?」 カラッと変わった空気に、小首を傾げる。 彼は服のポケットから、小さな箱を取り出した。 見るからに高級そうなものが入っている小箱は、否が応でもパンを作った時のあの会話の流れを思い出させた。 (まさかな) まさかその小箱から出てくるのは。 しかもこのシチュエーションで。 思いながらも、心臓が大きく脈打つ。 思うような物が出てきたらどうするんだ? 男から貰う物じゃないだろ? そもそもなんでこんな緊張してるんだ? (んなわけねーよな) テーブルに肘をついたまま、視線はしっかり箱を見ている。 でも、そんなわけあったとしたら? 頭の中にいろいろな思いがよぎりながら、脈拍は速くなる。 「気に入ってもらえるといいんだが」 彼の太い指が、小箱を開けた。 最高に心臓が収縮した瞬間、目に入ったのは、カラフルな珠が散りばめられた、さくらんぼくらいのサイズの玉だった。 「は……っ?」 一瞬目が点になって、すぐに事態を把握した。 「あ、あれ、か、後輩の」 「ああ! ネックレスが出来たんだ!」 最高にいい笑顔で笑う。 あまりにも笑顔が眩しくて、俺は自分の思い描いていた妄想の浅ましさに赤面した。
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