第一ノ章 〔僕は殺してない〕

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僕がうわ言のように 口走ってると扉が開いた 来たのは僕を逮捕した刑事さんだ… 僕は椅子に力なく腰かけたまま 目だけ刑事さんに向けた 刑事 「カニス、今いってたアイツって誰のことだ 今、満月がアイツを呼び起こした 自分の中のアイツを…と言っていただろ?」 なんだよ、この刑事さん… やっと僕の話を聞く気になったのか 僕は朦朧とする意識の中 刑事さんを見つめた カニス・ウエイ=ルナティクス 「ああ、そうさ… アイツだよ…満月の夜 決まって現れる双頭の影… あれは、僕の影なんだよ それは…最近、気づいたんだ 頭が2つに割れて変形する…」 刑事さんは自分の顎を触りながら 少し考えるような仕草をしている… 刑事 「それは狼男症候群ではないよな…?」 狼男…症候群…? 僕は項垂れながら首を傾げた 刑事 「ああ、失礼…自分が狼男であると変異など してないのにそう勘違いしてしまう病の事さ…」 カニス・ウエイ=ルナティクス 「あぁ…一種の二重人格という奴か… でも、残念ながら…僕はそれじゃない 実際に変異してしまってるんだと思う…」 刑事さんは何か考えながら小さく ため息をついて部屋から出ていった… 鎮静剤の効果か、だんだん眠くなってきて 僕は椅子に浅く腰掛けたまま目を閉じた……
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