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第ニノ章 〔満月ノ夜〕
あれから数日が経つ
僕は相変わらず個室に監禁状態だ
外には出られない
個室に閉じ込められたまま…
暴れないように鎮静剤が打たれ
僕はもはや暴れる事すら諦めた
今の僕は誰にも信じてもらえなくて
心も折れてきた…
彼女がいてくれたら、きっと
違っていただろう
僕は椅子から立ち上がり
部屋にあるただ一つの窓から
空を見上げる、井の中の蛙
そんな言葉を思い出した…
今の僕はまさに井の中の蛙のようだ
小さい窓から切り抜かれた空しか見えない
…!空に薄く満月が浮かんでる
こ、今夜は満月の夜なのか…!
どうりで体が朝からだるいわけだ…
僕は再び椅子に座る
〔数時間後〕
夜が来た…頭が割れるように痛い…
この症状は彼女がいなくなった日と
まったく同じ症状だ…
頭を押さえたいが、拘束着のせいで
両手を動かせない!
僕は椅子から再び立ち上がってから
両膝を床についてしまった…
項垂れる僕…不審に思った
医者達が入ってきた
「おい、血圧と脈をはかれ!
なにかおかしいぞ…!」
は…ははは…まあ、ここは一応…病院だし
血圧計が持ち込まれた…
だが、僕の体が糸につられたように
背筋を伸ばして立ち上がり
僕の意識はそこで飛んだ……
(カニスの頭が二つに割れ始めた)
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