怪談の定番金縛りにあった話

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それは十年以上前、私がまだ学生だったころに体験したはなしです。 学校から出た課題を終え、眠ろうと布団に入り目を閉じた時のことでした。 しばらくして突然、重苦しいものを感じました。 何だと思っていると、耳元でお経が聞こえてきます。そのお経はだんだんと大きくなり、その声も人数が増えたように聞こえてきました。 それが何のお経かわかりませんでしたが、頭の中にお経がガンガンと響いていました。 怖い、でも目を開いてはいけない。そんな直感が私の目を固く閉じさせていました。 まぶたの向こうからは鋭い視線も感じます。 いったい何がいるのかわかりませんが、これが金縛りか、とも思うくらいに体も動きません。 でも絶対、目は開けてはならない。そんな気がして、まぶたに力を込めます。頭の中に響くお経、鋭い視線と重く、息苦しくなる呼吸。 早く朝になれ、朝になれと願いながら、まるで拷問のような時を過ごしました。 閉じていたまぶたがだんだんと力を入れすぎて痛くなってきた頃、突然テレビがつきました。 いつも目覚まし代わりにオンタイマーに設定していたのです。 それをきっかけにお経は消え、重苦しいものも無くなりました。 オンタイマーを設定していて良かった、心からホッとしました。 金縛りとお経の体験はこれ一度きりでしたが、もう二度と経験したくありません。
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