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「そんなこといちいち考えているのかお前は」
休憩中、隣にいた同僚からそう言われた。
「だって、そう感じない?特に地下鉄は外の景色はあってないようなものだから、余計にそう思うんだけど」
「まあ確かに、毎日顔合わせているのにいなかったりすると、『今日は休みなのか?』って思ってしまうよな」
「不思議だよ。名前も知らない赤の他人なのに」
「降りる駅も目的地も違うが、そこに見知った顔がいるだけで人は安心するんだろ。ほら、人間って狭いところに自分だけしかいないと、すごく不安になるっていうし。まあ、俺からしてみれば、隣に生きている人間がいるのに、画面の向こうの『本人かもしれない』あやふやな存在を信じてスマートフォンいじっている人間のほうが不思議だ」
休憩が終わった同僚は仕事に戻っていった。
僕も休憩が終わり、再び仕事に戻る。
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