レッスン1

11/16

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
 俺は緊張の糸が切れたことが作用したのか、さっきからの古乃実の態度に腹が立ってきた。  俺は有無を言わさずに、古乃実をベッドに投げた。上にのしかかり、マウントポジションを取る。    「俺を舐めてるのか。殺し屋はジョークじゃない」  俺は古乃実の口に、グロック19のマズル(銃口)を突き刺した。    「このまま引き金を引いてもいいんだぜ」    俺は精一杯冷笑を浮べた。正直迷っていた。ここで引き金を引く事は難しいことじゃないが、引っ掛かるものはある。    驚くことに古乃実は眉一つ動かさいどころか、目は笑っている。  頭がイカれてるのか?  思った瞬間、俺の手をしっかりと握り返し、自ら引き金を引こうとした。    「止めろ。本当に弾が出るんだぞ。死にたいのか」    俺は腕をよじり、無理やり銃口を天井に向けた。すると古乃実は握った手の力を少し緩めて言った。    「私を殺して。殺して欲しい人間って、私の事だから」  俺は絶句した。希望に満ちた女子高生の口から出た言葉とは到底信じられなかった。    古乃実は涙をこぼしていた。怯えなどは微塵も感じられない。    「古乃実。俺は殺し屋だが殺人鬼じゃない。金を積まれてもやる仕事とやらない仕事がある」    俺はゆっくりと古乃実の手を銃から外した。       
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加