レッスン1

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 確かにはじめは衆目を集めるが、あまりにも派手すぎて、そのうち誰も見向きをしなくなる。これが東京の特徴だ。     「やあ、ウサギのミミーです」  奴はいつもこんな風にやって来る。  それに対して、俺は「知ってるさ」と応える。いつものことだ。  「私であることの証明をしてるのですよ。気にしないでください」  「だったらせめて頭部だけでも、その縫いぐるみを取ったらどうだ」  「それだと私が誰かわかってしまうじゃないですか。この声も変換出来なくなってしまうし」    今日のウサギ男は枯れた声だった。不思議とそれだけで老人と話していると錯覚してしまう。しかしどうでもいい事だ。    「もう殺しは──今回で終わりにしたい」    ウサギ男は一瞬ビクッと反応したが、その後しばらく黙っていた。そして話し出す。  「難しいでしょうね。あなたほど鮮やかに仕事をする人はいませんもの」    「でも考えといてれ」  ウサギ男はクククと笑うが、表情が見えない分気味が悪い。  「さっさと要件を頼む。誰を殺ればいい?」  「今回の仕事は殺しではないんです」    想定外の言葉に俺は眉毛を動かした。    「俺に殺し以外の仕事をやれと?」  「報酬は同じなのでご心配なく」  「金のことを心配しているんじゃない。内容はなんだ」    「レンタル彼氏……」       
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