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「ソラ、お散歩に行きましょう」
僕の前にしゃがみこんで言う
だめだよ
僕はおばあちゃんの側についていなくちゃ
だってひとりじゃさみしいよ
だから僕は行けない
ごめんね
「そう...」
とても悲しい顔で小さく呟きながら
僕の首にかかった御守りに触れる
取ったらいやだよ
これはとても大切なものなんだから
いつ、どこで、誰にもらったのか
はっきりとはしないけど
絶対に失くしちゃいけないものだという
ことだけは強く覚えている
しかし彼女はすぐに顔を上げ
「でも、ありがとう」
笑顔を向けてくれた
そう言って僕に背を向け歩き出した瞬間
ユラユラと景色が揺れた
彼女の向こう側が歪む
強く瞬きをしてから目を開けると
そこに現れたのは小さな階段
地面の下へと続く階段だった
何が起きたのかはわからなかったけど
その階段で地下へ降りようとする彼女を見て僕は走り出した
そこに行ったらだめ 危ないよ
必死に首を彼女に押しつけて止めようと
したけど
僕の頭に手を置いて、「大丈夫」と言う
彼女が僕の横を通り過ぎる
ねえ、だめだったら なにか雰囲気が
おかしいもの
おばあちゃんの方を向く
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