第二章:07

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ジュース片手に組み手を見学していた桜田が説明する。 彼女はこのCETで偵察を担当しているそうだ。フェイスダウンも偵察部隊の情報は 認知していたが、どうもアルカーに執着するあまりそちらは軽視する傾向にあった。 しかしこうして裏から見ると、アルカーの行動は彼女たちによって 支えられてきたことが、よくわかる。 ぴこぴこと、口にくわえたストローを動かしながら器用にしゃべる。 「といってもねー、ホントに勉強教えるだけだし。友達もいないし」 「……本人は"いつものこと"だそうだ。友人がいないのは……」 上半身裸で座り込んでいる火之夜が、さみしそうに呟く。 学校という概念はよくわからないし、友人というものもよくわからない。 だが彼の横顔を見れば、それが彼女にとって自然な状態とはいいがたいと、察する。 「だから、ね。ノーちゃんがあの子の相手をしてくれて、とってもうれしいの。  ……私にも、あの子が喜んでるってわかるから」 「……そうか」 めずらしく真面目かつ柔和な顔で、桜田が微笑む。火之夜もだ。 不思議な気持ちだった。悪の組織で戦闘員として生まれた俺が、 ――こうして、人から笑顔を向けられるとは。
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