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ふと、気になってたずねる。
「……ところでノーちゃんとはなんだ」
「――ノー・フェイスはいるか?」
……たずねたところでタイミング悪くCET作戦本部長――御厨が入室する。
自分はともかく、本当なら火之夜たちは立ち上がって迎えなければならない
相手のはずだが、まったくフランクな態度を崩さず軽く手をあげて挨拶する。
「ノー・フェイスならそこにいますよ、御厨女史」
「……………………そうか」
普段の様子から、この二人には並々ならぬ絆があることは感じていたのだが
今はなぜか、火之夜から微妙に目をそらして答える御厨。
「何の用だ?」
「ああ。先日から話している通り、今後フェイスダウンが現れたとき
アルカーと共に対応にあたってもらう。――その話は了承してもらえたな?」
「むろんだ」
すっ、と立ち上がる。フェイスと戦うのは望むところだ。
ということは、フェイスダウンが現れたのか?
「ああ、早合点させてすまない。そうではなく――出動時の話について、
おまえに紹介するものがある」
「おおおぉぉぉッッ!」
なぜか桜田が目を輝かせてとびつく。子供のようにはしゃぎながら、御厨に聞く。
「てことは! アレの手配が済んだんですな!?」
「フ……まがりなりにも官給品としてはいささか高価だが、そこはまあアレな?
権力者のアレソレでな?」
「くぅぅーーッッッ! この悪代官! 愛してるぅッ!」
よくわからないテンションでよくわからない話が盛り上がる。
なにか得体のしれない居心地悪さを感じ、火之夜に助けを求めるが――
「――苦労するぞ、これから」
……なぜかやたらと疲れ果てた顔で、同情するような視線を送られてしまった。
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