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「おおおおぉぉぉおぉぉッッッ! I-I2! Tsuzaki社製の1000CC
"モンスターバイク"ッッッ!!」
「厳密には1000CCを越えていないがな……ああ、この光沢。素晴らしい」
CETの整備工場。そこには二大の大型バイクが並んでいた。
一台は、猛禽のような面構えの赤いバイク。もう一台は鏡面仕上げにより
美しく輝く黒いバイクだ。どちらも、そこにいるだけで周囲を圧倒するような
威圧感がある。
「"Xinobi I-I2"。水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒に
スーパーチャージがついた怪物マシンだ。圧縮された空気を送り込むことで、
高い出力をひねり出す。みろ、この禍々しい鼻先を。
まるで牙を剥いたドラゴンだ」
なるほど、見ようによっては竜の頭に見えなくもない。機械はその機能以外
気にしたことがなく、意匠などまじまじと見たことはないが――
「なるほど、悪くない」
「おッ!? いいねぇノーちゃんわかるかい? バイクはやっぱり
見た目がいいに越したことないよ! まあ愛嬌のある子も好きだけどさ」
くねくねと悶えながら桜田がばんばんと肩を叩く。
「……で、これがどうしたのだ?」
「うむ、その赤いバイクは火之夜のものだ。アルカーはコレに乗って
現場に駆けつける」
なるほど道理だ。アルカーにせよ、ノー・フェイスにせよ数十mを一秒で
駆け抜ける。時速で言えば二百kmを越える。(瞬間的にはその何倍も出るが)
が、その速度で何十kmも駆け抜けられるわけではない。一人しかいないアルカーが
あちこち引きずり回されるとなると、足が必要だとは思っていた。
これが、そうだったとは。
「で、だ。基本的に、アルカーとお前は二人一組で行動してもらう。
そのためには足並みをそろえる必要がある」
「……つまり、これにオレが乗れと?」
話を察してたずねる。御厨は妙に自信たっぷりに頷く。
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