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幽霊との遭遇
玄関を出て1分もしない内に
それに遭遇してしまった。
後ろの風景が微かに透けて見える人物。
それは間違いなく霊だった。
突然の事に、実はその時の僕は硬直して動けなかった。
これっぽっちも本気にしてなかったからだ。
でも、目の前にいるのは確かに…
目が合った事で、自分が見えている事に気付いたのだろう。
カレは固まって動けない僕の方に
悲しげな表情で徐々に近づいてきた。
カレは僕の肩を掴んで何かを訴えようとした。
でもそれは叶わないことだった。
なぜなら肉体を持たないカレは、僕の肩を掴むことも出来ず
声帯を持たないカレは声を出すことも出来なかったのだ。
でも、その必死の表情を見た僕は
「ここで待ってて。直ぐ戻ってくるから」
鼓膜を持たないカレに聞こえてるのかは疑問だけど
取り敢えず僕はそう言って急いで家に戻った。
『道具2・幽霊ヒヤ』
説明書によれば、このイヤホンを掛ければ
幽霊の声が聞こえるらしい。
相手には心の声が聞こえてるので問題ない、との事。
じゃあ、さっきの僕の声は聞こえてるたんだな。
ちょっと安心しつつ、さっきの場所へと急いだ。
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