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さっきの場所まで戻り、『幽霊ヒヤ』を装着した。
この世でやり残した事や身内へのメッセージ、その他もろもろの未練
カレは何が言いたいんだろう。
何か伝えたいことがあるなら、この僕が全部聞いてあげよう。
そして、伝えてあげよう。
そう思っていたが、その考えは甘かった。
カレの話はそんな事ではなかったのだ。
5年前、いじめがエスカレートして殺されたカレ。
その恨みの縛りから逃れられず、このままでは成仏できない。
この手で彼らを殺したいから何とかして欲しいと、そんな話だった。
よく、幽霊に呪い殺されるという話を聞くが、実際には無理なんだそうだ。
さっきも言った様に、肉体を持たない彼等は直接手を下すことも出来ない。
耳元で呪いの言葉を囁く事も、魂に直接働きかける事も出来ないらしい。
「この手であいつらの息の根を止めたい」
それがカレの切な願いだった。
実は出来ないことはない。僕があの道具を使ってあげれば。
そう、3つ目の道具、『幽霊タッチ』を使えば。
「ここで待ってて」
そう告げて僕は再び自宅へ戻った。
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