幽霊との遭遇

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
 さっきの場所まで戻り、『幽霊ヒヤ』を装着した。  この世でやり残した事や身内へのメッセージ、その他もろもろの未練 カレは何が言いたいんだろう。 何か伝えたいことがあるなら、この僕が全部聞いてあげよう。 そして、伝えてあげよう。 そう思っていたが、その考えは甘かった。  カレの話はそんな事ではなかったのだ。  5年前、いじめがエスカレートして殺されたカレ。 その恨みの縛りから逃れられず、このままでは成仏できない。 この手で彼らを殺したいから何とかして欲しいと、そんな話だった。  よく、幽霊に呪い殺されるという話を聞くが、実際には無理なんだそうだ。 さっきも言った様に、肉体を持たない彼等は直接手を下すことも出来ない。 耳元で呪いの言葉を囁く事も、魂に直接働きかける事も出来ないらしい。 「この手であいつらの息の根を止めたい」 それがカレの切な願いだった。  実は出来ないことはない。僕があの道具を使ってあげれば。 そう、3つ目の道具、『幽霊タッチ』を使えば。 「ここで待ってて」 そう告げて僕は再び自宅へ戻った。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!