第一章 ~押し込み発車~

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選ばれることは幸福であり、選ばれないことは不幸なのだ。 二十二年行きてきて、その最果て。終わりの点から地味に伸び続けるこの生涯で、今まで沸々 と、そして最近とみに感じることがそれだった。 「……はぁ」 承認欲求。 人は、他人の話を聞かないくせに自分の話をしたがる。他人の存在について無遠慮なくせに、自分の存在を尊重しろとのたまう。 どうにかやって自分を滑り込ませたい。 どうにかやって認められたい。 こう現せば滑稽にも思える、しかしその「承認欲求」と片付けられる行いを、人類はかなり初期の段階から始めて、そしてかけがえのない歴史を作り上げてきた。 選ばれたいし、報われたい。 必要悪? 「……いや、当たり前か」 そういうものと、私はよく争っている。 人類の歴史の最果て。生涯の最果て。地味に一分一秒、刻一刻と更新されるその二つの最前線で、次なる人生の居場所、大学を出た先の限られた椅子に座ろうと、同じように「選ばれたい」と手をあげた同世代のライバル達と戦い続けている。 そして負け続けている。 完膚なきまでに、百戦百敗といっていい。 努力はしたけど、いや努力はしているけれど。数だってこなし、自分を何とか高く売り込もうと、それなりの努力を積み重ねてきたけど、そんな私をどこの会社も認めてくれなかった。
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