第一章 ~押し込み発車~

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なんて。 「……冷めてますかね」 「?」 星夜さんは、頭の上に目一杯疑問符を浮かべているようだった。 どこぞの奥様というよりお嬢様というのが、私が持つ星夜さんの印象にしっくり来た。 冷めている。 星夜さんに聞いても詮無い事だ。だから、自分で勝手に考える。 冷めていた。選ばれない屈辱。将来への不安。それが、私の意思と裏腹に、体のどこかにべったりくっついているようだ。 「……」 シロくんは、私の右手のひらに絶えず頭を擦り付けている。 心地いいか、私の手のひらが。 「冷めてるねぇ」 背後から声を掛けられたのは、そういう時だった。 「いや、醒めてる、と言った方がいいかな」 「あららぁ?」 先に反応したのは星夜さんだった。 私はシロくんに右手のひらを貢いだまま、しゃがんだままで振り向く。 いや、見上げた。 そうしなければ足しか見えなかったからだ。
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