第三章

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 ある時、難しい本を読んでいると若い女性が僕に声を掛けた。 「哲学の本なんて子供には難しいでしょ?」 「僕は子供じゃない。そういう貴女は理解出来てるの?」  垢抜けた服装の彼女は女子大学生で、戦争が始まり大都市から故郷の町に疎開しているのだと言う。 「それを学ぶ為に大学に行ったのよ。多くの革命家達もサロンで議論を戦わせたわ。戦争が無ければあたしもその中のひとりになれたかもしれないのに」  そう嘯くマリアが上目使いでエドを見ている。
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