最終章

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 その頃、戦争は多くの国々が参加して益々拡大していた。主要都市への爆撃を非難する軍隊の新聞が街角に並び、夜は光を出す事を禁じられた。街の明かりを目標に爆撃されるからだ。人々の営みに向けて爆弾は降りそそがれる。では、人殺しと戦争はどこが違うというのだろう? 彼らは誰かの許しを得て僕達の頭上に目掛け爆弾を落としているのだろうか? 犯罪者を裁く様に、何者かの裁きを経て僕達の頭上に爆弾は降りそそいでいるのだろうか。憎しみで人を殺す。見ず知らずの人々の頭の上に爆弾を落とす。それにいったいどんな違いがあるというのだろう。   この頃からエドの様子がおかしくなった。中央公園に戦車が並び、対空砲が設置されて戦争の足音が僕らの町にも聞こえ始めた頃。僕はエドに訊ねた。僕にはわからない。誰に訊いても納得できる答えは返ってこなかった。   「何故、未来社会では自由が禁止されたんだろう?」  僕の疑問にエドは答えなかった。 「それは自由が貴重だからさ」と、言ったけれど本心とは思えなかった。
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