エッセンスは一滴だけ

6/7
前へ
/25ページ
次へ
◇◆◇◆◇◆◇◆ 「風気持ちーね☆ 」 何ともカップルに最適な夕暮れ時じゃないか。 だがどうだ? 少年の表情は晴れやかじゃないね。こんな美少女が隣にいるというのに。 「でもマリー、ムカプンなのー。一日中マリーに夢中だったのにぃ、宮藤くんと教室出たらぁ……ガッツポーズした二人がいたのよぉ? ひどくなぁい? 」 おやおや、挑戦的だねぇ。 「だけどぉ、宮藤くんはぁ、マリー選んでくれたんだよねぇ? マリー、超嬉しい~☆ 」 ◇◆◇◆◇◆◇◆ 「……ヴァーバラ☆ 」 「ん? マリーどうした? デート中ではなかったかな? 」 パタパタと浮きながら、マリーはニコニコしている。 「それがねぇ? 」 二人は本にまた、目を落とす。 ◇◆◇◆◇◆◇◆ マリーのスマホが振動した。 「はいはぁい☆ マリーチャンでぇす☆ 」 『あたしだけど……』 着信相手は、マリーと気の合う派手なクラスメイト。 「あ、千歳チャン~♪ どうしたのぉ? 」 『デート中悪いんだけどさぁ……。葛西さんが湯島と嵯峨に連れてかれてくの見たんだよねぇ。遠目だけど、無理矢理っぽかったからさ。じゃ、伝えるだけ伝えたよ』 マリーがうふっと笑う。 『え? 何? 』 「……その宮藤くんならぁ、マリーと来るときにぃ、ガッツポーズしてた人がいたから話したんだけどぉ。マリー置いて学校に走ってっちゃったよぉ? 」 『何それ? マリー可哀想ー! じゃあ、あたしらとカラオケ行く? 』 「んー、今日はいいかなぁ。また誘ってねぇ☆」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加