エッセンスは一滴だけ

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◇◆◇◆◇◆◇◆ 「そういうことか」 「そういうこと~☆ 間に合うかなぁ? 」 「間に合ってくれなければ困るさ」 二人は、確信めいた笑みを溢す。 たった一滴、背中を押す言葉がどんな些細な言葉でも、本心を突き動かす。恋する方を動かせば、自ずと相手も動かざる得なくなる。 ◇◆◇◆◇◆◇◆ 「宮藤が葛西のこと好きなら仕方ねぇって思ってたけどさぁ。違うみたいだし、俺と付き合おうよ」 「待てよ、俺も葛西可愛いって思ってたんだから抜け駆けすんなよ」 少年のあんな姿を見ておいて勝手なことを言うねぇ。思い込みってのは面白いものだ。 「な、なんの話よ?! 恋愛には興味ないし、端からお断りよ! 」 強気に出るが、二人もの少年にはタジタジだね。 場所は体育館倉庫前。 さてさて、少年はどこかな? ……お? 校舎に入ってきていたね。必死な形相が分かりやすくていいねぇ。 「お、おい! 奈緒子見なかったか?! 」 スマホを持った派手目のお嬢さんがぎょっとする。 「マジできたよ……。体育館の方に湯島と嵯峨が連れてった」 「サンキュー! 」 再度走り出した。さぁ、佳境だよ!
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