素材の苦味はそのままに

4/4
前へ
/25ページ
次へ
◇◆◇◆◇◆◇◆ 「あんたっていっつもそう! 迷惑なの! わかる?! 私なんか構わなくたっていつも可愛い女の子がいるじゃない! 何? 憐れみのつもり?! 」 「何で心配しちゃいけねぇんだよ?! 俺何かしたかよ?! 」 はいはぁい♪ ヴァーバラじゃわかりにくいのでぇ、マリーが解説しちゃうよ~。 自分に自信がない女の子ってぇ、意外と付け焼き刃で達観しやすいんだよねぇ。奈緒子チャンは尚更かなぁ? 元々奥手な女の子ってぇ、身近な人を好きになりやすいだけどぉ、モテ男じゃ無理もないよねぇ。……でもねぇ? きっと奈緒子チャンはぁ、うふふ。 「知らないわよ! もう止めて! 」 頭を抱えてうずくまる。 「……他の女がどうと関係ねぇ! 俺は! おまえが好きなんだよ! 」 きゃー! 今からマリーの大好きターンだよ! がんばれぇ! 宮藤くーん! 「な……。そ、それは幼馴染みだから、でしょ! 高校生にもなって子どもっぽいことやめてよね! 恥ずかしい! 」 勢いで立ち上がる。 「女より男がガキっぽいのはわかる! だけど、俺は本気でおまえが好きなんだよ! ずっとおまえだけが好きなんだよ! 」 「な……に言ってるの? バカじゃないの。私なんか地味だし、愛想ないし……」 気弱になり、顔を反らしながら壁に下がる奈緒子の肩を優しく、しかししっかり掴む。 「……んなこと知ってる。ちびんときからずっと一緒にいるんだから」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加