トッピングは華やかに

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「あ、ありがとう……」 毛嫌いしていたはずなのにドキドキが鳴りやまない。 「なぁ、奈緒子。よくわかんねぇけど……ちょっと付き合わねぇ? 」 初めて奈緒子は笑顔で頷いた。 ◆◇◆◇◆◇◆◇ 「……やっとお嬢さんは素直になったか。それにしても、マリー。君は魔法使いだったのかい? 」 後ろに向かって声を掛ける。 「恋のキューピッドはぁ、皆魔法使いなんだよぉ☆ 」 事も無げに変わらぬ笑顔で応えるサキュバス娘。 「……『誘いに断れない』のは『誘惑』の『誘爆』効果だけど、『言葉の魔法』は自己暗示みたいなものよ。そもそも奈緒子チャンは、恋愛自体が嫌な訳じゃなかった。いつも手にしている文庫本、ブックカバーで隠していたけど……あれ、『恋愛小説』だったの。だから、『憧れてはいても現実と切り離して考えていた』っていうのが正解。幼馴染みとの恋愛なんてベタ中のベタだから、一番あり得ないとでも思っていたんじゃない? でも、奥手だから彼しか好きになれるような人はいなくて葛藤していた感じかな」 フムフムと興味深げに聞く主。 「そこで仕上げに行ったわけか。"いつもと違う自分"になれば心情も変わると」 「そーそー☆ シチュエーションさえ揃ったらぁ、落ちるしかないよねぇ♪ 」
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