エッセンスは一滴だけ

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━━奥のスペースに案内され、紅茶まで頂いてしまった。 「あの、この本はどういう? 」 表題だけではまったく内容はわからない。 「この本は……基本的に、持っていてくれるだけでいい」 意味がわからない。 「すみません。よくわからないんですが……」 「すまないね。どう説明したらいいかな。……お嬢さん、君の"悪魔"の認識を先に問わせてくれないか? 」 「"悪魔"、ですか? 」 書物だけでも数多くの悪魔がいる。七つの大罪が今、再度ブームにはなっているかな。 「感覚と得た知識だけでも、色々な見方がありますけど……人間が畏れの対象にして、脅威に感じるもの。願いの代償に命や魂を要求されたり、強大な力を持つ存在、がメジャーでしょうか」 「うんうん。ここあるものたちにも、ファンタジーでそんなことを描かれているね」 だけど、私はまだ整理がついていないことがある。 「……でも、先程あなたが仰ったことで気になることがあります」 「ん? 何かな? 」 「書物の感想を食事に例える人は少なくないです。あなたがそうであるように。気になるのは、この本の悪魔はおなじ表現を好んでいるのか、代償に近いものなのか、と言うことです」 また怪しい笑みをした……。 「……"何らかの願いのための代償"と? 」 「は、はい……」 今度はにっこり微笑まれる。 「そうだね。近からずそうなるんじゃないかな。だが……この悪魔は"異端"でね。"ハッピーエンド"の作品が大好物なんだ」
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