1人が本棚に入れています
本棚に追加
「こんにちは?」
彼女は不思議に思って首を傾ける。やはり殺すなんて無理だ。
「きゃあ!!」
彼女はその場で急に転んだ。
「あの……大丈夫ですか?」
「大丈夫……じゃないかな。コンタクト落ちちゃったみたいだから取りに行ってくれないかな。たぶん、あそこら辺……」
そう言って車道を指差す彼女。そうですね、と言って取りに行くわけないだろ?私はゆっくりその場を去ろうとする。
「取りに行ってる?君の叫ぶ声が聞こえないよ?」
その言葉で彼女がしたい意図が分かった。私を殺す気だ。
「ねぇ、待ってよ」
急に左肩を掴まれて私の動きを押さえる。私は体を右後ろに回転させて払い、そして彼女を突き飛ばしてしまった。その直後に灰色の車が来て彼女を轢いた。
黒い道路に染み渡る赤い血が私の脳裏にまで染み渡る。私は咄嗟にその場を本屋に向かって逃げた。
『チュートリアルは無事成功ですね』
私はそれを見て「成功なわけない」と息が荒れつつもつぶやく。どうやら、これで普通にスマホとして利用できるようになった。ルール等に縛られているのに変わりはないが。
犬が吠える音がする。
「そこからは襲えないか……」
最初のコメントを投稿しよう!