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犬は小屋のリードに繋がっており、動くことはない。それにしてもよく吠える犬だな、と思いつつ犬の見てる方を私は見た。どうやらドアノブを開けようとしている男性がそこにいた。鍵をなくしたのだろうか。
「あのぅ……」
「やべっ、見つかった」
私の顔を見るなり、慌てて逃げ去っていく男性がいた。
「泥棒か」
犬は静かになったかと思えば私を見て吠えている。しかし先ほどとは違い、尻尾を激しく振っている。大きい体なのにかわいらしく見えてしまう。
少し歩くと猫が日向ぼっこしていた。丸くなった薄茶色のその体はまるで砂糖醤油を浸した丸いお餅のような姿だった。
店まであと少しのところでたくさんの人が集まっているのを確認した。どうやら、その集団は私目当てなのだろう。私は不意に隣にある電柱柱を見てある物がそこにあることを確認した。
私は速やかにそちらに移り、そこにある物を手に入れた。ルールの中に『落ちてる物を利用してはならない』などと書いてないのだから、ルールは破ったことにはならない。
「見つけたぞ!!」
集団の中の一人がそう叫び始める。バレたならしょうがない。
私が振り向くとおでこに銃口が向けられる。
「言い残すことはあるか?」
「ある」
「なんだ?」
「警察が容易く人に銃を向けてはいけません」
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