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「お願い。早く取ってぇ」
「は、はい!し、失礼します」
そうだ。これは蜘蛛を取るだけだ。俺に下心は無いしやましい事だったない!
恐る恐る店長の服の方へと手を伸ばして、……ってあれ?
「店長、蜘蛛って黒いですか?」
「うん!まだなの竹倉君?」
「それって首元に落ちました?」
「……(コクコク!!)」
とりあえず取り乱している店長に申し訳ないのでそれをそっと取る。
「と、とれましたか!?」
「その、店長」
「な!何ですか!?」
「これ蜘蛛じゃないです」
「……え?」
そう、これは蜘蛛ではない。
「黒の糸屑ですね」
「……糸屑?」
半泣きのままの店長に糸屑を見せると目をぱちくりさせる。
「店長、さっき黒のぬいぐるみにじゃれてましてましたよね?」
「……」
「見た感じ大分ボロボロでしたしそこからほつれたのでは?」
「……竹倉君」
「は、はい」
「忘れて頂戴」
「え?でも「忘れて。お願い」……はい」
「よろしい」
……この職場について良かった。
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