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今朝は哀しい夢を見たいと笑った。
悲壮な自分を嘲笑って。
―暖かい夢などは要らないのですか。
朝、また光が目に入る事が哀しくて。
終わらない昨日は虚しいだけなんだ。
そう今朝のあたしも、口元が皮肉に望むので在ろう。
…紫煙は哀れな味を燻らせる為。
脳が覚えている、体に染みついて消えない癖。
纏う香りはいつも彼と同じの此の煙草。
…苦い痛み。
カーテンの無いこの部屋は、
朝陽を常に運んでしまう。
逝きたいのですか。
いいえ、失いたいだけだと嘲笑っていた。
剃刀は、だって奇麗な侭ね?
壁に戒められているのだから。
封を切る事も無く。
蝉が唄う前に、愛を唄叫ぶ前に。
世界が赫く染まり逝く、その日迄。
ただ、眠って居たかった。
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