ここはどこ

3/3
前へ
/3ページ
次へ
気付くと白い天井が映っていた。 何度か瞬きをして自分の視界であることを認識する。 辺りには消毒液の匂いが漂っている。 すぐ側には女の人がいて何かを言っていた。 そして私の手を強く握りしめ、目からは大粒の涙が溢れ落ちていた。 「ここは、、どこ?」 自分の声が普段と違い、ずっと小さくてとても弱々しいことに違和感を覚えた。 「どんなに心配したか!でも良かった、本当に良かった!」 その人は声を震わせていた。 「明日海(あすか)覚えてないの?夏休みに入ってすぐ交通事故に遭ったのよ、それからずっと意識が無かったんだから!」 そう言われても、あの時から何も思い出せない。 けれどその声に安堵しゆっくりとまた目を閉じた。 窓から入ってくる風の心地良さが、とても気持ちよかった。 (ここが私の居る場所なんだ。)
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加