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気付くと白い天井が映っていた。
何度か瞬きをして自分の視界であることを認識する。
辺りには消毒液の匂いが漂っている。
すぐ側には女の人がいて何かを言っていた。
そして私の手を強く握りしめ、目からは大粒の涙が溢れ落ちていた。
「ここは、、どこ?」
自分の声が普段と違い、ずっと小さくてとても弱々しいことに違和感を覚えた。
「どんなに心配したか!でも良かった、本当に良かった!」
その人は声を震わせていた。
「明日海(あすか)覚えてないの?夏休みに入ってすぐ交通事故に遭ったのよ、それからずっと意識が無かったんだから!」
そう言われても、あの時から何も思い出せない。
けれどその声に安堵しゆっくりとまた目を閉じた。
窓から入ってくる風の心地良さが、とても気持ちよかった。
(ここが私の居る場所なんだ。)
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