第8話 さびしさと切なさと心強さと

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為栗(してぐり)駅に到着した頃には能面の様な無表情蘭子が降臨した。 「私としてくり~♪」 無表情で最低のギャグを飛ばす蘭子。 うん、あれだ。鉄道に興味ない人間が企画する旅じゃないな。 為栗は車の侵入不可能で、二軒の民家も完全に無人で完全な陸の孤島だ。 『大悟君!これ見て!』 蘭子のテンションが少し回復した物は一枚の写真で、為栗駅で行った結婚式の様子らしい。 『何だか縁結び的な云われがあるのです!』 幸福駅のキップが観光土産になるみたいなものか。 残り3駅に関しては、もはや僕と蘭子に会話が無かった。と言うか疲れた。 『大悟君!この鉄道旅はデートに向いてませんよ!』 企画者が本末転倒な事を言い出した。 『漫画じゃ楽しそうに見えたのになぁ。』 そうか?鉄子の旅ってちょうど僕達みたいに田舎風景にうんざりした作者の奮闘みたいな内容だけどね。 『今度は日本一のもぐら駅の土合(どあい)に行きましょう!超ミニスカ履いて風圧でオーもーれつがやりたいです!』 お前は本当に未成年か! 『ところで大悟君。この列車にトイレが無いのですがオシッコがピンチです。』 その相談を僕にしても解決の方法は無いぞ。 『大悟君、もし次の駅にトイレが無かったら大自然へ花摘みに行くしかありません!』 そだね。 『大悟君は私をしっかり見てて...じゃなくて見張ってて下さい。』 今、僕にろくでもない事を言い掛けてたのは聞かなかった事にしよう思う。 第8話 ~おしまい~
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