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魔物の血が滴るナイフ片手に、女はある場所で足を止める。
「なあ犬っころ。色々おかしいとは思わなかったか?魔道銀なんて代物、普通に暮らす人は持っていない」
魔物はぴくりと耳を反応させた。
「そして、お前の爪を切り裂く程の物を持ちながら、大した攻撃もせずに逃げ回ってた事」
もはや魔物は聞き耳を立てるばかり。
「地面に刺さったナイフを抜かなかった。魔道を使えるのにほぼ使わなかった。因みに炎に対しては防御結界でやり過ごした。そして、挑発でお前に名乗らせた」
魔物・ブロクはその目に憎悪を湛え、睨む。
女の正体に行き着いた。
「聖魔協会か!?聖魔アリンシアの下僕めがっ!!」
「何とでも言え。全ては人々の為だ」
魔物・ブロクの怒りに、冷静に言い返す女。
そしてナイフを地面に突き立て、詠唱する。
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