第1章

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魔物の血が滴るナイフ片手に、女はある場所で足を止める。 「なあ犬っころ。色々おかしいとは思わなかったか?魔道銀なんて代物、普通に暮らす人は持っていない」 魔物はぴくりと耳を反応させた。 「そして、お前の爪を切り裂く程の物を持ちながら、大した攻撃もせずに逃げ回ってた事」 もはや魔物は聞き耳を立てるばかり。 「地面に刺さったナイフを抜かなかった。魔道を使えるのにほぼ使わなかった。因みに炎に対しては防御結界でやり過ごした。そして、挑発でお前に名乗らせた」 魔物・ブロクはその目に憎悪を湛え、睨む。 女の正体に行き着いた。 「聖魔協会か!?聖魔アリンシアの下僕めがっ!!」 「何とでも言え。全ては人々の為だ」 魔物・ブロクの怒りに、冷静に言い返す女。 そしてナイフを地面に突き立て、詠唱する。
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