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サワサワサワと、道の左右の木々が風に揺れる。
女は足を止め小さく呟く。
「漸くお出ましか」
その緑の瞳に、前方の切株に腰掛ける翁を捉えて。
「若い娘さんがこんな夜更けに出歩くのは感心せんなぁ」
翁は年寄り独特の嗄れた声で、女に話かけた。
いつの間にか月が雲に隠れ、辺りは暗くなっている。
「ああ、あるモノを探していまして。夜中でないと見つからないと言われてこの時間に」
女は若干低めのアルトボイスで、肩をすくめて世間話をする様に翁に答える。
翁は興味を持ったか、更に女に話かける。
「ほぅほぅ。夜中にしか見つからない探しモノかえ?見付かるといいねぇ」
ほっほっほと、翁は人好きのする笑いをする。
「ええ、大丈夫」
女も人好きのする声で答える。
「もう見つけましたから」
女のニッコリとした笑顔を、輝きを取り戻した月が照らす。
瞬間、女から凄まじい殺気が辺りに充満する!
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