最後の扉を……

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- * - * -* - “言いたくない” 握りしめていたハンカチだけを見つめながら、そんな思いに囚われていた。 「そして、負けず嫌いの頑固な処も変わらない」 その言葉に思わず視線を向けた 先程とは違う優しい目をした真 ホッとした 彼に知られなくてすんだから 違う………見られたくない ………ううん…… やっぱり違う 私は真に 真にだけは、負け犬だと思われたくは無かった “女性だから負けたのだと” “女性だから…………” “私が女だったから” その思いを拭いきれない そんな自分を見られたくなかった。 そして争いもせず 踏みとどまりもせず 全てを捨てた女 そんな目で…………見られたくなかった。 そんな堂々巡りの思考から 視線を上げさせてくれた彼の言葉 そこには “もう良いよ” そう言う彼の笑顔があった 心は瞬く間に浮き足立つ それを誤魔化すように、真の持ってきた紙袋に手を延ばした。 紙袋の中には、三種類の私が頼んだ珈琲豆が一袋づつ入っていた “えっ………お土産を頼んだと思ったのだろうか” 一抹の不安と共に彼を見た - *** - 彼はちゃんと私を解ってたんだ “色々と試したいだろう” 彼のその心が 涙が出そうに成るほど嬉しかった 「ありがとう、真」 “ありがとう”に 色んな“想い”を詰めこんだ
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