最後の扉を……

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「ねぇ海月」 真は、手挽きミルで珈琲豆を挽きながら 洗い物をする私に聞いてきた 「紅茶は要らないの? 喫茶店をするんだよね………」 そう、私は真と付き合いだしてから殆ど紅茶を頼んだ事は無い。 「ううん……少しだけ置くわ だって、珈琲の飲めない人は居るから でも、それはレモンティーのセイロンとストレートのアッサムだけ 私は珈琲専門店として喫茶店を始めたいの」 「なんで?」 そう問われれば理由はいっぱいある けれど一番の理由はこれ 私の中で譲れない思い 「私はね 珈琲の苦みと香りに包まれて“前を向くための時間が持てる”そんな喫茶店にしたいの 沢山の人がお喋りをする 沢山の人が待ち合わせに使う 商売としては有難い事だけど 私は“お客様が自分を楽しめる”喫茶店にしたいの 店の薫りは複雑にしたくは無いの 何時も同じ薫りが迎えてくれる そんな場所にしたいから」
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