人生最後の占いの家

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*** 途方に暮れて、夜の繁華街を歩いていた 何もかもが上手くいかなくて 何もかもに嫌気がさして 何もかもが……私を置き去りにする 私は、何をしたいのか 私は、何が欲しいのか ……私は……どうしたいのか 虚ろな瞳で街を彷徨った ふと目に止まった小さな店 右手の路上の少し先 オレンジ色の光につられるように足を進めた 「喫茶店かな……」 オレンジ色の光に灯された、入口の小さな看板 表札のように、壁に貼り付けられた小さな看板にはこんな文字が書かれていた 【Cafe Marine ~人生最後の占いの家~】 「占い……か……」 苦笑がこぼれた 占いで人生が上手く行くなんて…… 踵を返して、帰ろうとしたとき 先程から黒雲を纏った空から、大粒の雨が落ちてきた
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