人生最後の占いの家

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雨粒に帰るのを阻止されたかのように、雨宿りのつもりで店の扉を開けた Cafeでの雨宿り それだけだった カランカラン 押し開けた扉の先には、オレンジ色の光に包まれた様な、六脚程のカウンターだけの小さな店だった 「いらっしゃい」 カウンターの中から、暖かい声が迎え入れてくれた 一目見て分かる狭い店 客は、一人も居ない 閉店時間なのだろうか 「あの、すみませんまだ大丈夫ですか」 扉を開けた状態で、控えめに尋ねた 「あら、やっぱり降ってきたのね」 開けた扉の隙間から見えた景色にカウンターの女性は事情を察して 「どうぞ、掛けて」 その言葉に導かれるように 端から二番目の席に落ち着いた 「すみません、閉店時間じゃ無いですか?」 店の女性以外誰も居ない静かな店内には さざ波の音の様な、ヒーリング音楽の様なものが小さな音量で流れているだけだった そんな狭い店を、見廻し尋ねる私に全てを察した女性が笑いながら答えた
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