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「ふふっ、大丈夫よ気にしないで
私が、気儘にやってる店なの常連さんしか来ないし、降り出したみたいだから今日は貴方が最後のお客様かな
ゆっくりしていってね」
笑う彼女は、陽だまりのような温もりを纏い……包み込むような声で続けた
「珈琲で良いかしら?
ごめんなさいね、ここ珈琲専門店なの」
少し眉を下げて、申し訳なさそうに告げられた。
「あっ、はい。珈琲は好きです。
お奨めの珈琲でお願いします」
少し大きな声で、慌てて答える私に彼女は笑いをこぼす
「ちょっと待っててね。心も温もる珈琲を淹れてあげるから」
カウンター越しに、食器の音とコポコポとサイフォンの音を聞きながら、やっと落ち着いてきた
カウンターに腕を置き、俯き加減に座っていると耳に入るさざ波の音に自然と又思考は引き戻されていた。
まるで、この世界に自分しか居ないかの様なそんな空間になった
私なんて……
私なんか……
何で……
どうして……
虚ろな瞳で見つめるカウンター
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