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「ふふっ」
何時始めたのかも定かでは無い
自分勝手の勝負思考に笑いがこぼれた
そんな私を見て真が首を傾げる
「ううん……何でもない。リースを飾ると師走だなぁ~て、思うわよね」
飾り立てのリースを見上げながら満足げに呟いてみた
隣に立つ真もリースを見上げながら
「良いね、このリース。落ち着いてるのに華やかさが在るというか………海月っぽい」
「でしょー!一目惚れしたの」
と、思わず口にした
「ははっ、やっぱり衝動買いか……」
………なんか……しゃく
「ちょっと“やっぱり”て、何よ
それに“私っぽい”て、どう言う意味なのかしら」
と、腰に手を当て顎を少し上げ気味に聞いてみた
「言葉の通りだよ。
海月なら、計画的購入の時は必ず寸法を測って買ってくるからね。
そんな緻密な処も在るのに、たまに思いがけない衝動的な行動に出る………ね、見てみてよあのリース海月っぽいだろ」
そう言う真の視線に釣られるように又リースを見上げた。笑みが溢れる
“うん、やっぱり素敵”
全体的には、シックに纏められた飾り付けなのに数カ所に、目を引く色合いのポイントが在る
「うん………やっぱり素敵」
何気に溢れた言葉
「ははっ……自分に喩えられたリースを自分で誉める処も海月らしいよ……
そう、素敵だね“このリース”」
そう言って、私の顔を覗き込む
誉められたのはリース
私じゃ無い、このリース
だけど………何だか……視線が彷徨う
「はははっ……ほんと解りやすいよね海月って」
「もう、からかってるでしょ!」
思わず真の肩を叩いて、気恥ずかしさを誤魔化した
「とんでもない、このリースもこのリースを選んだ海月もどちらも素敵だよ」
そう言って真はそそくさと店の中に入っていった
その背中を見つめながら
「やっぱり……なんか癪に障るのは……何で…」
と、今度は独り言ちてみた
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