最後の扉を……

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隣に立っていた真の姿が無くなると同時に、冷たい横風が吹き付けてきた 「うわっ寒い」 思わず自分を抱きしめるようにした時 何気に向けた視線の先に見知った顔があった じっとこちらを見ていた いや……見てると言うより見つめてる いや…… “唖然としてる” これがぴったりの表現だろう 唖然と私を見てるその瞳と視線があった 「早樹ちゃん、いらっしゃいどうしたの?今日はお休みって言ってなかった?」 私のその言葉で、現実に戻ったように軽く首を振り乍ら彼女はこちらに向かってきた 「海月さん、こんにちは ちゃんと聞いてましたよ。ただクリスマスの飾り付けをすると聞いてたのでお手伝い出来るかなぁと馳せ参じました。」 ちょっと、戯けて彼女は答えてくれる 「まぁ……それはありがとう。小さいお店だけど助かるわ。取り敢えず入って、珈琲入れるから」 早樹を店へと促しながらも一つの疑問が頭を過ぎる 「処で早樹ちゃん、何で声を掛けずにぼーっと見てたの?」 扉を開けながら彼女に聞いてみた 「えっ……あ……いや別に……ぼーっとしてた訳では無かっ………」 と、彼女の言いかけた言葉に店の中からの声と被った 「海月……こっちの古いリース…… あっ、ごめんお客さんだったんだ」 店内の壁に、以前のリースを掛けようとしていた真は、手を止めて私の後を見ていた そして、私の後の視線も 私を通り越して、黙って真を見つめていた 「…………」 「…………」 「…………」 そうだった……… 私は、ある現実を思い出した 店の奥の壁際に立つ真 入り口の中の私 開け放たれたドアの敷居の少し外に立つ早樹ちゃん 「えっ………と」 この沈黙を破る事が出来るのは、私しか居ない 意を決して早樹ちゃんを見て伝えた 「早樹ちゃん、紹介するわね 彼は、私の旦那様の真です」 彼女の目は大きく開き、私と真の間を忙しく動いたかと思うと真を捕らえたまま、これでもかと更に大きく見開いた そして……又沈黙が訪れた 「えっ………と」 私は、又同じ言葉を口にしていた ………だって……何だか 恥ずかしくって………
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