最後の扉を……

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**** 「海月、退職を決めたんだって?」 久しぶりに逢う真 相変わらず、スマートにスーツを着こなしてる 「お帰りなさい。 長期出張ご苦労様でした。 頼んだもの買ってきてくれた?」 質問に答えずに、全く違う問いかけをする私を、何か言いたげに見つめた彼は、諦めたように一瞬肩を上げて答えてくれた 「インドネシアコーヒーだろ。 《トラジャ》《カロシ》スマトラ島の《マンデリン》ご希望の品をご希望の日に届くように手配したよ。勿論、コロンビア、エチオピアには現地迄は飛べませんので、仕事として手配させて戴きました。毎度ありがとうございます。青池様」 態とらしく頭を下げる 世界各国の輸入食材を扱う真の会社は 私の夢の手助けをしてくれる 「ありがとう」 今日一番の笑顔でお礼を告げた 長い足を組んで椅子の背もたれにもたれ掛かる様にして、腕を組んで私を見つめる真 「…………何?」 「……………」 「何?」 もう一度聞いてみた 「海月は、俺よりジャワ珈琲に逢いたかったのかな?? なら………これもどうぞ」 真は、少しふて腐れたように大きめの紙袋をテーブルに置いた 「そんな事あるわけ無いじゃ無い」 これでもか、と、笑顔を添えて続けた 「2カ月もインドネシアに行きっぱなしで、ろくに電話もメールもくれない、真の顔を見に来たんだけどなぁ……」 と、少し斜めの視線で返してみた 彼はすかさず、斜め上に視線を上げた 「…………」 「…………」 彼は徐に視線を私に戻し 「ごめんなさい」 と、頭を下げた
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