絶対 見るな

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「あれ、この画像なんで隠されてるんだろ?」  大学生になって初めての夏、俺は長すぎる夏休みを持て余していた。  いつも遊んでいたメンバーは半分以上実家に帰ってしまったし、残りのやつらもバイトやらサークルやらでなかなか遊ぶことが出来なかったのだ。  俺はというとバイトにもサークルにも興味がなく、生活費ギリギリの仕送りでは外に遊びに行くことも出来ず、一人でアパートにこもってインターネットで暇をつぶしていた。  冷房をケチっているので部屋の中は蒸し暑い。いつもならよく風がはいる二階の部屋だが、今夜はまったく風がなく嫌になるような熱帯夜であった。 「こんなアカウント、フォローしてたっけ?」  SNSのタイムラインに流れてきた『絶対 見るな』という短い文章と画像。  アカウント名は空欄になっている。画像にはSNSのフィルターがかけてあり【解除する】というボタンをクリックしなければ見ることが出来ない。 「誰かのイタズラか? 長瀬あたりがやりそうだけど」  長瀬は大学の友人で、俺と同じように暇を持て余している男だ。ちょっと皆をビビらせてやろうと、こんなくだらないことを思いついたに違いない。 「どうすっかなぁ。うーん……」  解除ボタンにカーソルを合わせて顎先に手を当てた。  驚かせようとしてくっつけている画像なら、見ないほうがいいのかもしれない。しかし、フィルターで隠されていると余計にその先にあるものが気になってしまう。  それに、なんといっても今は時間を持て余していた。  あまりにも不快な画像だったら長瀬に電話して、文句を言ってファミレスでおごらせればいい。そう考えて、SNSに表示された解除ボタンをクリックした。     その瞬間――
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