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「はぁ、なんだったんだよアレ」
充電していたスマホに手を伸ばし長瀬に電話をかける。こいつがさっきの動画の仕掛け人なら思い切り説教してやりたいし、違ったとしても無性に人の声が聴きたかった。
「ん……もしもし?」
数度のコールのあと、眠そうな声が返ってきた。
「長瀬。伊藤だけど」
「あー、伊藤ちゃん、何? どしたのこんな時間に。俺寝てたのに」
「悪い悪い、ちょっと聞きたいことがあって」
長瀬は寝ていた?
ということはさっきのイタズラは長瀬ではないのか?
一応、寝たふりをしているということも考えて、探りを入れてみることにした。
「長瀬、さっきまでSNSいじってた?」
「いじってないよ。寝てたもん」
「ほんとか?」
「本当だって。そんなの嘘ついてもしょうがないじゃん」
苛立った長瀬の声色からして、これは演技ではないだろう。どうしようか迷ったが、今さっき起きたことを全部長瀬に話すことにする。最初はかったるそうに聞いていた長瀬も興味をひかれたのか、途中から声に元気が出てきていた。
「ってわけでさ。『絶対 見るな』とかいうやつやべーって。マジ怖いんだけど」
「んー、ちょっと待ってて。今からSNS見てみるから」
「十五分くらい前にあったんだけど」
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