這い 寄る

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「うわ!? ……えっ、俺の部屋? ……夢か」  飛び上がって周囲を見回した視界に、見慣れたカーテンが映る。朝の光を浴びてキラキラと輝いていた。大きく息をついて、もう一度ベッドに身体を横たえた。 「夢にまで出てくるなっつーの。なんなんだよ……」  苛立ちと恐怖がない交ぜになった複雑な気持ちで枕元に目を向ける。  時計の針は朝の六時を指していた。まだダラダラ寝ていたい時間だ。  時計の脇に置いているスマホが点灯していたので、タオルケットにくるまったまま手を伸ばす。  メールが一件届いていた。最近は皆SNSから連絡をしてくるので、メール自体が珍しい。 「なんだこのアドレス?」  送り主は妙な英字の羅列で、携帯会社やよく行く店の宣伝メールでもなさそうだ。  どうしたものかと思ったが、眠い頭のまま深く考えずにメールを開く。件名はなく、本文には『一』とだけ記されていた。 「送信ミスか? 一件の添付画像あり?」  画像という文字にかすかに動揺した。なんてったって昨日は画像をクリックしてえらい目にあっているのである。  なんかいやだな――  そんな気持ちとはウラハラに、まるで何かに魅入られるように指が動いた。指先が画像添付を示すクリップの記号に触れる。  画像がゆっくりとスマホ画面の中に展開していった。  赤黒くさびた階段。  黒い髪。青白い肌。そして……。  昨夜見た、黒く大きな瞳。  ただれた、右側の皮膚が地面に痕を残して――
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