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 誰も取り調べをしていなかったらしく、殿下もすでに忘れていて指示がでていなかったようだ。  どこからもこの少年に対する問い合わせなどもなく、どうしたものかと悩み、けっきょく第三騎士団の寮へ入れた。  それから時々少年の様子を見に行ったが、いつも寒そうな恰好をしていて寮監に話を聞くと、あれが気に入っているのかあれしか着ないと言われてしまった。  服も支給しているし食事も出しているのにあまり食べないと聞き、毎回治癒魔術だけかけていた。  祈りは変わらず捧げていたが、神子は現れずますます国が荒れていた。  だがついに、そのときが来たのだ。  降臨の間に満ちていた魔力が消え、顔をあげるとそこには美しい少女がいた。神秘的な黒髪は歴代の神子が持っていた色で、ぱちりと開いた目は青く肌は透き通るような白だった。 「おお、なんて美しい……神子よ、よくぞおいでくださいました」  殿下の熱のこもった言葉に、神子は頬を赤く染めながらここはどこかと尋ねていた。  俺は、これでこの国は救われると笑みを浮かべ、第二王子や魔術士と歓声を上げていた。  殿下は神子のことを気に入り、神子もまんざらでもない様子で関係者は皆一様に明るい表情へと変わった。  空は相変わらずの曇りだったが、それもしばらくすれば晴れるだろう。     
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