1049人が本棚に入れています
本棚に追加
3
0
起きたら部屋が変わっていた。
そこはサミュエルの部屋らしく、隣は仕事部屋になっていた。
仕事が変わるようで、僕は身振り手振りでここにいろと言われその通りにする。
サミュエルはせっせと僕に食べ物を差し出し、夜は仕事部屋のソファーで寝ていた。
することもなく、寝て、起きて、料理を口にしてすごした。
数日後には風呂に連れて行かれ、髪を切られた。丁寧に髪を梳いたサミュエルが、新しいシャツとズボンを差し出してきたのでそれに着替える。
「見違えたな、貴族の子供のようだ」
機嫌のよさそうなサミュエルに手を引かれ、食堂へ行った。
そこには兵士がたくさんいて、席へついてからも視線がずっと集まっていた。
サミュエルがお盆を二つ持って戻って来て、ひとつを僕の前に置いた。そうして隣に座り、ジェスチャーで食べろと促されフォークを持つ。
「団長、新しい従者ですか?」
サミュエルの前に座った兵士が、楽しそうに僕を指差し何かを話している。
「まあ、そんなところだ」
「へー、名前はなんていうんですか?」
「あー、名前な。そうだな……ブランだ」
それから、僕はブランと呼ばれるようになった。
最初のコメントを投稿しよう!