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 城壁の出入り口にいる兵士は、抱かれている僕に驚いていたが無事中に入れた。  サミュエルは身分証を作らなきゃとぶつぶつ漏らしていて、僕を抱き上げたままなのを忘れているように思えた。  僕は身長が低く、百六十ちょうどだった。サミュエルは二百をこえているだろう。まあどの人もそれくらいあるし、女性も背が高い。  鍛えているサミュエルからすれば、僕なんて軽い荷物のようなものだろう。  訓練場を抜けて、私室のある建物の食堂まで連れて行かれた。夕飯の時間はとうに過ぎていて、閑散としていた。 「団長さん、どうしたんだいこんな時間に」  調理場の人が、僕とサミュエルを見て楽しそうに声をかけて来た。 「ブランと街へ行ったのだが、はぐれてしまってね。探していたらこんな時間だ。何かないか?」 「ああ、子供はよく見失うからな。見つかってよかったじゃないか、ちょっと待ってな」 「ああ、すまないな」  近くのテーブルで、ようやく僕を降ろしたサミュエルと並んで座る。 「何か買えたか?」  僕の顔を覗き込むサミュエルに首を振る。 「そうか。次ははぐれないようにしよう。怖くなかったか?」 「はい」  僕の頭を撫でるサミュエルは、僕をいくつだと思っているのだろうか。これでも成人済みなのだが、言っても信じてもらえそうもない。     
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