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 俺は魔術師のところへ行き、神子以外が現れる可能性について尋ねてみた。  すると、過去に一度、神子が二人現れたことがあると教えられた。  その二人は黒髪で、やはりブランとは違い女性だったそうだ。  ではやはり、ブランの記憶違いか何かだろうか。  言葉も文字もわかるブランに、予算表の確認を頼んだ。ただ立っているだけよりいいだろうと、あとで自分でも確認すればいいことだと渡した書類に目を通して、口を引き結ぶ。  今では他の書類もブランに確認させているが、彼はどうやら、非常に頭のいい子供らしい。  計算違いを訂正し、新しく彼が書くと間違いがない。  矛盾がある書類はすぐに気がつくし、何より処理がとても早い。  無駄口を叩くこともなく、淡々と言われたことをするその姿は、とても子供には見えなかった。  書類仕事はあまり好きではなかったが、ブランと執務室で仕事をするのは楽でよかった。  彼はまとう空気が薄く、存在が邪魔にならない。それでもそこにいるので、欝々とすることがなくて効率がすこぶる上がった。  部下のひとりが、ブランのことをよく聞いてくる。  どうやら気があるようで、休みは何をしているのか聞かれ口ごもってしまった。  部屋から出るなと言っている俺としては、どうにも後ろめたい。     
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