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結局、あんな子供に懸想するなと釘を刺して返事を濁した。
ブランの部屋は、俺の部屋についている従者部屋だ。狭い部屋だが、窓もあるしベッドと机と棚もある。
私物を持っていないブランの部屋は、彼がいないと空き部屋に見えた。だが最近は、机の上に硬貨が置かれている。
たまにはと、ブランを誘い城下町へ出かけた。
すぐにブランとはぐれてしまい探したのだが、一向に見つからずため息を漏らした。
昼には戻り、城へ行き第二王子と会い神子と殿下の仲を確認した。
神子は幸せそうにしているそうだが、雲はまだ厚い。
神子の幸せがかげると、太陽はその姿を隠すと言われている。
殿下も陛下の許可を得て、神子と常に一緒にいるそうだが不安は募る。
夕方になって部屋に戻るも、ブランの姿がない。
食堂や執務室も覗いたが、どこにもいないのに眉をひそめた。
門番のところへ行き、ブランが身分証を持っていないことに気がついた。
慌てて外に出て、街中を探す。
陽が暮れて、ようやく見つけたブランはしゃがみこんでいて、その姿に安堵より焦燥が滲んだ。
今にも消えそうで、俺はブランを抱き上げて謝った。
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