4

5/7
前へ
/209ページ
次へ
「昔です。こちらに来てからは染めていません」 「どういうことだ?」 「わかりません」  ザッと湯をかけ流し、ブランは立ち上がり浴槽へ向かっている。  浴場にいる部下たちの視線が彼に向かい、その白くて華奢な肢体にみんなが目を逸らそうとしている。  まあ、男所帯だからな。  それでもなんとなく不快で、その後を追い部下たちの視線を散らす。 「元々はどんな色なんだ」 「黒です」 「……そうか」 「はい」  額を覆い、どういうことだと困惑する。  降臨の間に気がついたらいた少年は、元の髪色は黒だと言う。  姿を見せない太陽と、無表情の少年。  もしや、この子も神子だというのか? ではこの国は、神子を不当に扱い今も……。 「君は、今の生活はどうだ? 他にしたいことなどあるか?」  ブランは上気して血色の良くなった顔を俺に向け、小首を傾げた。その仕草が小動物みたいで、愛らしくて微笑んでしまった。  ブランに書類を任せ、俺は第二王子の元へ向かった。  太陽はまだ出ておらず、城の空気が少し硬くなっている気がする。  魔物はまだ活発で、俺たちの仕事も忙しい。 「殿下と神子はどうだ」 「仲睦まじく。新しいドレスを仕立てて、宝石も贈っている」     
/209ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1049人が本棚に入れています
本棚に追加