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おかげで予算がと嘆く第二王子に、俺は嘆息して少年の話を切り出した。
「あのときの少年が? いや、だがそれはないだろう。彼は男性だよな?」
「ああ、ちゃんと男性だ。だがもし、彼も神子だった場合この国はどうなる? 彼は殿下に殴られ、牢に入れられ、その後の境遇もよくなかった。今は肉もつき健康的になってきたが、表情は動かずまるで人形のようだ」
「……可能性が少しでもあるなら、手厚く保護した方がいいだろうな」
また予算が、と嘆く王子に俺は身を乗り出した。
「もしそう扱うなら、彼の伴侶は俺にしてもらえないだろうか」
王子は口を開けて俺を凝視してきた。
「は? なんで? いや、別に伴侶にしなくても幸せにすればいい。贅沢をさせて欲しいものを与えればいいだけだろう?」
確かに、それで彼が幸せだと思えばそれでもいい。
だが、普段の彼の様子を考えると、それでは無理な気がするのだ。
それをうまく言えず、ひとまず彼を城へ移すことにした。
城の客室に移った彼と、俺の接点はなくなる。
執務室で書類へ目を通し、いつも彼が立っていた場所を何度も見る。
どうにも調子が乗らないと、討伐へ積極的に参加もした。しかし部屋に戻っても彼は隣室にいない。
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